ドーパミンデトックスとは?うたい文句どおりにいかない理由と、代わりにできること

ドーパミンデトックスは、スマホも楽しみもない1日で脳を「リセット」できるとうたいます。このトレンドはどこから来たのか、なぜドーパミンは「ゼロに戻せない」のか、「ドーパミンの落とし穴」とは実際には何なのか、そしてふつうのことに喜びを取り戻す「ドーパミン衛生」とは何かを整理します。
スマホも、甘いものも、音楽も、会話もない1日。それで脳が「リセット」されるというのです。ドーパミンデトックスはSNSでもっともバズっているトレンドのひとつで、日本のGoogleでも「ドーパミンデトックス やり方」「ドーパミンデトックス 期間」「ドーパミンデトックス 離脱症状」といった検索が並びます。不都合な真実があります。ドーパミンは、お風呂の水のように週末で「抜く」ことはできません。けれど流行りの名前の裏には、しくみを理解すれば本当に役立つアイデアが隠れています。
ドーパミンデトックスはどこから来たのか、なぜうたい文句どおりにいかないのか、「ドーパミンの落とし穴」とは実際には何なのか、そして1週間の禁欲生活の代わりに何をすればいいのかを見ていきます。
ドーパミンデトックスとは?
SNS、ドラマ、甘いもの、ゲームなどの手っ取り早い楽しみを一時的にやめて、それらに再び「はまら」なくする試みです。このアイデアを2010年代後半に広めたのは心理学者のキャメロン・セパ氏で、やめられない習慣への行動心理学のテクニックとして考えたもので、ドーパミンの量を減らす方法ではまったくありませんでした。
インターネットはこの但し書きを落としてしまいました。広まったバージョンの「ドーパミン断食」は、「ドーパミンの量をリセットする」ために、食事、人との交流、インターネットなど、ほとんどすべてを断つものに変わったのです。
ドーパミンデトックスは効果がない?
うたい文句どおりにはいきません。ドーパミンを1日や1週間で「ゼロに戻す」ことはできないのです。神経科学者は、その言い方自体が意味をなさない理由を説明しています。
- ドーパミンをつくっているのは、脳の800億を超える神経細胞のうち、わずか40万〜60万のニューロンです(The Scientist)。空にできる「タンク」ではありません。
- ドーパミンには5種類の受容体と複数の神経回路があり、脳のほかの物質とも密接につながっています。だから「ドーパミンを減らす」という言葉は実質的に意味がないのです。
- 我慢それ自体は報酬を一時的に取り除くだけで、脳のつながりを組みかえはしません。
「断食」の代わりに役立つこと、トラッカー付きの7日間の「ドーパミン衛生」プランを、この記事のPDFにまとめました。